イタリアに移住となった時にはすでに40を過ぎていたわけなんですが、日本を去ることになった時点で私はアパートで1人暮らしをしていました。
その時勤めていた会社には中途入社で7年ほど勤めていて、その前からいろいろ引越しも多くて、最後のアパートには住んで5年目の年でした。自分で行動して現在の夫と出会っておいてなんだけど、まさか海外に住む流れになるとは思っていなかったし、当時40代前半のフルタイムワーカー、賃貸住まいとはいえすっかり自分の居心地の良い安住の地を築いておりました。
さて、これからどうやら海外に住むことになるな、という状況となり、住まいの中を見渡せばこじんまりしたソファとか、ベッド、必要最小限の家電、小さくても本棚とか、背の高い照明とか、本がたくさん、使ってるかどうか定かではない服やカバン、などなど1人でこんなに必要かと思うような量のモノたちに囲まれているではありませんか。
必要だと思ってそばに置いていたものばかりだったんですけどね。
そのモノたちとどうお別れしたかの話です。
どうやってモノを整理したか
捨てるという選択は最終手段にしたく、以下の方法を取りました。
・大きいものは取りに来てくれる友達、同僚、知り合いに貰ってもらう
・小さくて綺麗なものはアプリを通じて売る
・セカンドハンドショップに持って行く
貰ってもらう
幸いなことに、職場に血気盛んな若者が多く1人暮らし率が高かったことから、家にあるものと同じ商品の写真を見せたりなどして欲しい人を募ると、積極的に貰ってくれる人が多かったです。
電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫、など重めの家電については新しい機種でもないのでどうなることかと思っていたけど、それらも親しい人を通じてちょうど欲しい人がいたり、今からまさに1人暮らしをするという人がわざわざそういうのを運ぶ業者を依頼して取りに来てくれたり、オフィスで使う方がいたりと、大変助かりました。
壊れてないから、欲しい人が引き続き使ってくれるならモノたちも喜ぶぜ!という感じ。
アプリを使う
某アプリを通じてまだ綺麗な本などは売れました。中でもベストセラーとかより、誰もが知ってるものではないけど好きな人はすごく好きだよね!という分野のもの、例えば料理本だと特定の1品だけを掘り下げたものなんかは出て行くのが早かったです。
あとは未使用の食器を箱付きでとか、語学系のテキストを丸ごと、というのが売りやすかったです。アクセサリーや服は難しかったので結局人にあげることにしたものが多かったです。
セカンドハンド屋さんに行く
ざーっとはけていった後に残ったよくわからないものたちはセカンドハンドのお店へまとめて、予想はしていたけど二束三文となりましたが、捨てるよりマシだし持っていったらあとはお店の人がいい感じにしてくれるわけで、売られた先で誰かが使ってくれるなら良いです。
中には引き取り手を見つけられるほどの価値のあるものでもなかったりで、役所の埋め立て行きになるものもありましたが、最小限で済ませられたのでは。
付随して起きたこと
新たな人間関係の気づき
モノたちとのお別れの中で、いろんな人とコミュニケーションを取る機会にもなりました。
それまで職場でしか会わなかった、会う必要を感じなかった人々がモノを引き取りにうちに来てくれた時。そのついでにランチもしたり。そこで知るその人のいろんな近況とか、目指していることとか、人柄とか。きっとこの状況でなければ知り得なかっただろうな、という会話ができたのが楽しかったです。
しばらくそこまで頻繁にやり取りしていなかった友人と、これを機に連絡を取るようになり、私の暮らしの変化を祝ってくれたりというのもありました。私はただ貰ってくれればありがたいと思っていたものを大変喜んでくれてお礼をもらってしまったり。
また別の人では、この人はこういう趣向のものが好きだろうと貰ってもらうモノを厳選して取っておいたところ、さらっと当たり前のように持っていかれるということもあり、思わぬところで相手が私との関係性をどう捉えていたかを垣間見ることになりました。
こちらが不要なものを持ってってくれるだけありがたいことですが、こちらも見返り(代わりになんかくれということではなく喜んでくれるとか)求めてたのかもですね。でもそんな態度なら実家に置いておくモノにしたら良かったなとは思いました。
惜しんでいること
当時は、身軽になるんじゃーい!という気持ちが高まっておりめっちゃ手放しました。私には実家に置いておくという選択もできたんですが、置いてても忘れたりするしどうせ後で取りに行かないといけない、その時にいらないとなっても貰ってくれる人がいないかも、売れないかも。そっちの考えがあって、どしどし手放しました。
そして数年経って最近になって、
あのカバンあげちゃったけどもったいなかったな…
あの組み立てできるやつ、なんだったら普通にイタリアまで持って来れたから実家に置いておけばよかったわ…
などとしみったれたことをふと思います。
けどね、数年も思い出さなかったモノだよ、要らなかったんじゃん?そんなに必要なら似たようなモノを買えば良いのです…。
また、長年持っていた、購入時にはなかなかのお値段だった靴、直しながら履いていたくらいでよくよく眺めると古くなっており、心を鬼にして処分しました。今持っていても使わなかったことだろうと思いますが、思い出します。
その後
完全に移住してから日本に一時帰国した際に、まだ実家に残しているものを確認しイタリアに持ち帰ったりということもありましたが、まだ何かしらが置いたままです。
今の生活でそれらを思い出さないので、きっと不要なのではと思うんだけど…あれだけ潔く整理処分させてもらったのにこれだから、なんの躊躇もなくできたのがよかったのだろうな。
こうして過去のことを思わず振り返るようになってるのは、今の生活が安定してきているから、気持ちに余裕が出てきたからなんだと感じます。
単に買い物に行きたいだけなのかもしれませんけどね。