イタリアに住むことになりまして

すっかり大人な40過ぎからのイタリア暮らし!移住に伴う愉快なこと、生活しながら感じること、あとたまにはお堅い話もしてみたい。

イタリア人のお父さんとミステリーツアー

ある日の午前中、10時過ぎかな?彼は家でリモートワーク、外は晴れ。

犬の散歩に行くというお父さんが、私にも一緒に行く?と誘ってくれました。私は基本暇なくせに迷いましたが、いいよ、と若干上からな返事をして支度。

 

お父さんはイタリア語のわからない私にもいつも簡単な言葉でゆっくり話してくれたり、犬を抱えて「かわいいよね〜」と近寄ってきてくれたり、寂しい思いをしないように?してくれるお茶目な人です。

そう、お茶目、そのお茶目さがこんなことになるとは、出かける前は知る由もなかったのでした…!

 

 

Giro

日々天候や気分で散歩する道を変えるので、犬と共に家の外に出たところで今日のコースを聞いたところ、

「Giro」と言われました。

確かそう言われたはずなんですわ。イタリア語歴浅い私でも、すでに習った単語で、この場合のニュアンスで言うと、どっかその辺ぐるっと、みたいな意味合いだと理解しました。*1

しかし家の裏の車に乗り込もうとするお父さん。近くの広目の公園まで車で行って犬を遊ばせることもあるので、そのつもりかと思いとにかく犬とともに乗車。

天気の良い日に外で過ごすのは楽しいので、公園かぁ、いいね!と思っていました。

 

向かった先の絶景

移動中、お父さんの得意の解説付きで通り過ぎる景色を眺めます。この街ヴェローナで生まれ育った方なので、ここは運河だったんだよ、この建物は以前は○○って会社だったんだよ、など、語ることがたくさん。私にとっては良い勉強。

結構移動して中心地の方へ、改めて「どこ行くの?」と聞いたところ、今度は

「Montagna 」

意味は山、ですね。お父さんが指差していたのは、中心地から近くの丘です。おお!結構行くね!Giroっつったじゃん!という気持ちでしたが別に車でそこまで行く分には体力も消耗しないしいいか。

でも一瞬、イタリア人の年配の男性に行き先も告げられず、犬も一緒とはいえ車に乗せられ、やっと聞いた目的地が山、って結構スリルに満ちていませんか。て気持ちに。この運転してる人が知らない人じゃなくて良かったわ。

 

そこにはサン・ピエトロ城という建物があり、高台になっている観光名所です。車で近くに乗り付けることもできます。

そこから見える景色がこちら!

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ヴェローナの街を一望!
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絵を描いている人も絵になる!赤ベレーかわいい。川もイキイキと流れている

 

素敵でしょー?つい3年前はこの町の名前さえ知らずにいた私ですが、世界文化遺産に登録されていますね。素敵に決まっとるわ。夏に短期滞在した時以来の眺望でしたが、寒い時期もいいですね。

こちらに来るには車か、ケーブルカー(乗車時間1分ほど)か、右の写真に見える橋を渡り切ったところにある階段で上がってくる、の3つの手段があります。

 

まだ進む、そしてまさかの…

さて景色も見たし、ここでその辺をぐるっと回って帰るか!?とはいかなかった。

せっかく車で高台まで来たのに、お父さんたら階段で下まで降りてまた登ろうといい出す始末です。もういいよ!わかったよ!ついて行くよ!と心の中で叫び、コクリと頷き、元気な犬と一緒に階段を降りる我ら。以前来た時数えたら200段くらいありましたけど、降りるのは楽ですね。

で、降りたところの橋の手前に到着〜。

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ピエトラ橋(Ponte Pietra)歩行者用、ここを渡ると中心地

さて、次は今降りた階段を登るのね、ね?お父さん?そうでしょ?と思っていたらなんとそこにある信号待ちをしている風情のお父さん。私たちどこへ行こうとしているのか…?

「Piazza Erbe」次の行き先はエルベ広場だそうです!このまま街のど真ん中へ突き進む気です!もう名所だらけなのでただの観光っぽくなってきました。

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歩いているときに見た風景と、ヴェローナのドゥオーモ入り口

エルベ広場に行くと言った割に、全然そっちに向かわないお父さんです。いや、そこまでだだっ広い街でもないので向かっているつもりだったのかもしれないけど、僅かに外れていっているのは私にもわかった…が、お任せしていました。

工事たくさんしているね〜、などど言いつつ、フラフラと歩いていたらふと立ち止まるお父さん。

「Sbagliato」と何度も呟いているではないか。*2

街を流れるアディジェ川の方にある通りが見えたのでそこで改めて立ち止まり、そこから見える橋をいくつか確認し、方角を定めてまた歩き出しました。

もしや、まさか道に迷ってたか、お父さん!

 

そして気を取り直して主要なバス停がある辺りへ行き、観光客用に地図が描かれている看板の前で私に今からのコースを説明してくれました。

 

あせる?お父さん

この時12時過ぎ、私たちはマンマの作るランチに間に合うように、13時前には帰らなければいけないという使命があります。

ビクトリア橋近くのバス停からエルベ広場、シニョーレ広場と通過し、ピエトラ橋に戻るとして急いで歩いて10〜15分かな、そしてまたあの階段を登るためプラス10分、車でお家に戻るのが15分くらいと目算しても、きっとその通りにいかないのでそんなに余裕がない!

というわけでそこから若干早足に、でもたまに何か見つけては、これはね…と説明してくれます。ありがとうお父さん、でも急ぐよー!

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建物の彫刻を見つけてみたり/ピエトラ橋からサン・ピエトロ城を見上げたところ

最後の階段でゼエゼエ言いながら(犬だけは元気)無事に高台へ到着!そう、登りは大変!フラフラなお父さんでしたが、車に乗り込み帰路へ。

 

予告なしのミステリー犬の散歩ツアー90分、お父さんの思いつきが炸裂していて、結局めっちゃ楽しみました笑

ありがとうお父さん。

*1:原型はgirare(動詞)帰ってから改めて調べたら、ツアー、旅する、というような意味もあったのだった…

*2:Ho sbagliatoで、英語だとI was wrong 、何かを間違えたときにイタリア人が言うのをよく聞きます